Tap Around the World vol.11
2010年7月16〜18日、韓国ソウルにて行われたFLOOR ESSAY主催の舞台『Real Story』。出演にあたりタップダンサーを含め、多ジャンルの韓国ダンサーとともに過ごし感じたことを私の目線でレポートしたいと思います♪
1998年に結成されたストリートダンスチーム『FLOOR ESSAY(フロアエッセイ)』。約10年の歴史を経て、今回はメンバーの中の6人に焦点があてられ、それぞれの今ある自分を見つめ感じてきたことや大切にしていることをダンスや音楽を通して表現した舞台でした。
その内容は、よりよい生活のためにある人生(終わりのない道の途中)、そのままの日常の自分を舞台化した実話ストーリーでした。
出演者と、その演目のタイトルは…

キムヨンフン tenor saxプレイヤー
『自由 + 革命 - 人種差別 = ジャズ』
ギムヨンイル(Bogus) B-boyダンサー
『体はfloorやstreetにいなくても、想像の中で音楽を聞きダンスをすることができる』
ギルジウォン Hip Hopダンサー
『悲しいけど悲しくない』
アンミギョン Modernダンサー
『終わりの見えない道に立っているけど...疲れを知らないだろう』
キムジョンテ(SAAS) Houseダンサー
『日常の沼に立っている私を誰か救ってくれ』
シンイルソン(NILSON) Tapダンサー
『人生を演奏し、文化を描く』
出演者は、ミュージシャン5名、B-boy 3名、Hip Hop 1名、House 2名、Modern 3名、そしてタップ3名の 計17名。ストレートに見たままを味わうもよし、さらにはそこから奥深く響いてくる世界を味わってみるもよし、そんな観覧の楽しみ方が出来る内容だったのではないでしょうか。ヒューマンドキュメントなだけにそこには観客の心情を意図的に誘導させる要素は求められないだろうし、“ありのまま”がポイントになっていたと思います。
私は、ニルソン(NILSON)氏のタップシーンに関わりました。「タップダンサーを演じることなくパフォーマンス自体を楽しむように」と指示を受け、劇場空間をタップワールドへと引き込めるよう心底楽しみました。
終演してしばらく時がたってもなお、時折思い起こしてはいろいろと懐かしむほど、趣き深い舞台となっていて、与えられたポジションで全力を尽くすことから見えてきたものを感じながら、私自身にとってとても価値のある経験が出来たことを深く感謝しています。

ハイレベルなダンサーが集まっている中、いかにこの2週間を楽しむかに心踊る期待と、自分のタップをどう受け止められ興味を持ってもらえるのかということへのトライ、また韓国でのタップ繁栄に少しでも貢献出来るアクションを、今回のミッションとして挑ませていただきました。
チームリーダーであるニルソン氏とは、2003年に韓国にて行われたタップジャム公演へ招待していただいて以来の交流となっています。彼はチームメイトから絶大に師事されている上に韓国ストリートダンス界でも一目置かれた存在で、時代を引っ張っている人物です。その彼が、タップダンスをこよなく愛していることから舞台にタップが登場することになったのです。
タップのシーンでは、ニルソン氏と、私に出演のきっかけを与えてくれたタップダンサーの日暮良子さんと3人での共演となりました。彼女は、大阪で活動していたBasement Studio時代の親友ですが、2006年に国際結婚をして、現在は韓国に在住しています。
韓国で精力的に活動している日本人タップダンサーは、おそらく彼女ただ一人だと思われます。言葉も違えば文化も違う、根本的に違う世界でタップダンスを続けて行くことは並大抵では出来ないことだと思います。

たとえば、韓国タップダンス界のミーティングに参加した時には、何か一言、意見を言うにもなかなか取り合ってもらえず、辞書を片手に相手の言っていることを理解した後、自分の言いたいことをまとめて発言する頃にはもう次の話題になっていたり、など苦労の連続。それでも彼女はタップダンスをこよなく愛し続けています。
しかも、現在3歳のお子さんも育てつつのタップ活動。プライベートな時間はほとんどなくても、笑顔を絶やさない彼女を改めて尊敬します。言葉の分からない私にも十分なケアをしてくれ本当に感謝し尽くせないほどの思いでいっぱいです。
韓国で、ニルソン&良子ペアーのタップパフォーマンスが草分け的に新風を巻き起こしていることは間違いないでしょう。
ただ、韓国のタップダンススタジオは5つくらいあるそうですが、スタジオ同士が関わることはほとんどあり得ないらしく、同業界間の交流はかなり難しいようです。
それは日本でも同じことが言える気がします。関東や関西では近年になってようやくその垣根も低くなってきたかとは思いますが、それにしても”開かれている“とは一概に言えないように思います。
何事にもさまざまな意見があっていいと思います。ただ、私は自分が関わってきたタップから言えるとするなら、リスペクト有りきの交流盛んなタップダンス界が今後のより良く進んで行きたい方向性だと考えています。
一人でも多くの人にタップを見て頂き、知ってもらい、タップダンサーもどんどん増えて、タップを通して素敵な時間を共有しながら人と人との繋がりが出来て…そんな幸せなタップライフが日常的に広がっていったらいいなぁと願っています。
韓国ダンス界では、ジャンルの垣根を乗り越えた『FLOOR ESSAY』の活動のような発想自体がなかなか受け入れられない環境のようです。前例がない分、彼らの労力も人知れずあるとは思いますが、ぜひとも頑張って行ってほしいと願ってやみません。[part 2へ続く]
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